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安心の就学へ「5歳児健診」


2024/01/26 公明新聞3面より ~葛飾区での取り組みが紹介されています~


 発達障がいなどを早く発見し、安心の就学(小学校入学)につなげることをめざす「5歳児健診」。その全国的な実施に向け、国は今年から市区町村の健診費用の助成を開始した。早くから5歳児健診を実施してきた自治体の取り組みを紹介するとともに、国立成育医療研究センターの小枝達也副院長に同健診の意義などを聞いた。

■問診や集団遊びで状況確認/群馬・藤岡市

 群馬県藤岡市では5歳児健診を、2007年から同県のモデル事業として、10年からは市議会公明党の推進もあり、市単独の事業として実施している。

 全ての5歳児を対象に、月2回の健診日を設け、1次健診を保健センターで実施。会話や発音のチェック、「○○は何をするためのもの?」といった概念形成の確認などを行う保健師の問診や、他の子どもたちとの「集団遊び」を通して、行動やコミュニケーションの状況を確認する。

 気になる行動が見られる場合には、保護者に2次健診の受診を勧め、必要に応じて、子どもが日常的に過ごす幼稚園や保育園での様子を専門職が観察するなどして、受診を勧める場合もある。

■個々に応じた支援につなげる

 2次健診では、児童精神科の医師らがより詳細に観察。保護者が希望する場合は、個々の苦手分野に働き掛ける支援として月1回程度、小集団や個別でコミュニケーションのトレーニングなどを行う。また、保護者が相談できる場も設ける。

 同市では毎年、5歳児は約350人程度。ほとんどが1次健診を受診し、そのうち約2割が2次健診を受けている。市の担当者は、「個々に合わせた支援を行い、子どもと保護者が安心して就学を迎えるためにも、5歳児健診は重要だ」と語る。

■保護者、相談のきっかけに/東京・葛飾区

 東京都葛飾区は、区議会公明党の推進で、15年から5歳児健診を実施。対象者が毎年、3500人に上るため、まずは保護者へのアンケートを行う。

 保護者の心配の度合いが高い場合は、幼稚園や保育園を心理士などが訪問し、集団遊びの様子を観察。未通園の場合は子ども総合センターで集団遊びの様子を観察する。結果は、保護者に個別で説明し、必要に応じて医師の診察や、専門機関につなげる。

 アンケートの回収率は約9割と高く、「相談や観察のきっかけになり、良かった」との声が寄せられており、5歳児健診が保護者の安心感につながっている。

■公明の提言受け政府、全国実施へ助成開始

 公明党の訴えを受け、「5歳児健診」と「1カ月児健診」を実施する市区町村への国の助成事業が今年から始まった。5歳児健診で助成対象となるのは原則、自治体が実施する集団健診で、1人当たり3000円を上限に国が費用の2分の1を補助する。

 乳幼児健診はこれまで、母子保健法で義務化されている「1歳6カ月」と「3歳」に加え、「3~6カ月」「9~11カ月」も国の財政支援(地方交付税措置)の対象になっていたが、5歳児は対象外だった。2021年度時点で実施の市区町村は全体の15%にとどまる。

 公明党は、各地で地方議員が自治体独自の乳幼児健診を推進。国においても、昨年10月に行った岸田文雄首相への提言の中で、「助成の対象年齢時期を追加し、出産後から就学前までの切れ目のない健康診査の実施体制を整備」することを要請し、同11月成立の23年度補正予算に必要経費が計上された。

■発達の特性を早く発見/国立成育医療研究センター 小枝達也副院長

 落ち着きがない、周囲とうまく関われないなどの発達の特性を持つ子どもたちは、小学校への就学後に、環境に適応できず、不登校になったり、問題行動を起こしてしまったりすることが少なくない。

■環境に適応する力、療育で向上

 5歳児健診によって、そうした特性に気付き、適切な支援や療育につなげることができれば、多くの子どもたちが通常学級でも問題なく学べるようになる。実際に、5歳児健診を導入した自治体では不登校が減ったという研究もある。

 小学校入学前の「就学時健診」もあるが、就学までの期間が短く、支援が難しい。

 また、子どもの成長に不安を感じているが、相談できる場がなく、一人で抱えてしまう保護者も多い。わが子の特性を理解し、関わり方などについて、保護者が専門家に相談できる場としても、5歳児健診と実施後のフォローアップ体制の充実は重要だ。

 今後、5歳児健診の実施を検討する自治体にとっては、医師、保健師といった発達障がいの診断や生活指導ができる専門家の確保が課題になる。都道府県などが設置する療育センターと連携するなど、広域で人材の養成や派遣の取り組みを進めていくことが大事だ。

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