平成8年第2回葛飾区議会定例会一般質問

インターネットを活用した行政情報の提供と今後の活用のあり方について

 最近の新聞報道の中で、最も頻繁に使われる用語の一つが「インターネット」であると言
われています。インターネットとはコンピュータ同士をデジタル通信回線で結んだネット
ワークのことです。現在、世界で二千万台以上のコンピュータが加入していると言われてい
ますが、今もなお、急速に加入者が増えつつあります。そして、このネットワーク上で作動
する通信プロトコルと情報を読み出す優れたビューア・ソフトが開発されたことにより、誰
でも容易に世界中のサーバーコンピュータにある情報にアクセスすることが出来るようにな
りました。また、情報を読み出すだけでなく、自らも、自分の情報をサーバーコンピュータ
上に置くことによって、情報発信が簡単に出来るようになり、この機能を商品の宣伝媒体に
使ったり、ニュースや行政情報を始めとするあらゆる情報提供の手段とする道が開かれまし
た。特に民間企業では、商取引をインターネット上で行ったり、社内情報の交換すらイン
ターネットを利用する企業も現れ、様々な活用の道が開発されています。
 現在、日本国内では3万台以上のサーバーコンピュータがあるといわれ、情報発信の単位
であるホームページ数は数十万に上ると言われますが、日に日に増え続けており、正確な数
は誰にもわかりません。また、最近では、インターネットの機能を活用して、地域・行政情
報や観光情報を提供する自治体が増えており、国や他の公的機関も、この機能に注目して、
積極的にこれを利用する動きが広がっています。

 ところで、今インターネット上で、「葛飾区」の情報がどのように発信され、またどのよ
うにリンクされているかご紹介しますと、
 「葛飾区」と言う語彙での検索で最も多くのヒットがあるのが、(財)地方自治情報セン
ターのサーチエンジンによる検索で、6月10日現在、22件のヒットがあります。ところ
でこの(財)地方自治情報センターは自治省の外郭団体で、ここが、去る6月1日より、全
国の自治体の関連する地域情報をインターネット上で検索出来るサーバーを運用開始してい
ます。ここが、現在のところ自治体関係情報について最も充実したリンクを張っていると思
います。
 さて、大まか言って、現在、「葛飾区」関連で三つのホームページが出来ています。一番
充実しているのか「郷土と天文の博物館」のホームページで、実はこのホームページは和歌
山県美里町の「みさと天文台」の協力でつくられたもので、実際このホームページの充実ぶ
りには目を見張るものがあります。内容を見てみると、「郷土と天文の博物館」の展示、イ
ベント、プラネタリウムの紹介、他の「葛飾区」関連へのリンクは当然として、更に何より
素晴らしいと思うのが、日本及び全世界の博物館、プラネタリウム、日本の天文・宇宙機関
へのリンクが張られていることです。つまり、「郷土と天文の博物館」を起点に東京国立博
物館から始まって、世界中の博物館にアクセスできると言うことです。実際に自分でネット
サーフィングをしてみて、これを作ってくれた和歌山県の「みさと天文台」に心から感謝し
たい気持ちになりました。
 もう一つが、(財)葛飾区地域振興協会のホームページです。これは地域振興協会の職員
が作っているもので、今のところ葛飾区唯一の自前のものと言えると思います。内容はテク
ノプラザの事業紹介、パソコンステーション案内などですが、ここの特徴は区内の若手産業
人会議とのリンクがあることで、区内産業の一部紹介や受発注交換会の宣伝を通して、区内
産業の振興を目指しているものです。
 それから、実は驚いたことに「葛飾区のホームページ」なるものがすでにあります。これ
は、本区がやっているのではなく、「梅田義郎」氏というある篤志家が自分の趣味で作った
個人のホームページのようですが、内容は、葛飾区のあらまし、区内観光名所、施設案内、
公園、イベント情報などで、一般に公開されている本区の関連情報をまとめた内容になって
います。
 さて東京23区の他区の状況はどうなっているかと言いますと、これも先に述べた「地方
自治情報センター」のサーチエンジンで調べますと杉並、世田谷、板橋、中央、大田の各区
が先行しているようで、我が葛飾区もその中に出てくるようですから、全く遅れているとは
言えないと思いますが、しかし、ホームページの内容を調べてみますと、取り組みのスタン
スにかなりの違いがあります。
 先ず、最も進んでいると思われるのか、世田谷区で、ここでは区政情報室というところが
中心となって、ヒューマンライフネットワークという研究委員会を組織し、そこが直接ホー
ムページを作っています。内容は、地域の紹介、行政情報の紹介、友好都市紹介、区民の
ホームページ、区長のメッセージ、などです、ここの特徴は、そのコンセプトにあります。
つまり、インターネットを「区政情報の提供による住民サービスの向上の手段」と言った狭
い意味で考えるのではなく、「ネットワークの充実自体が21世紀の都市生活に不可欠」と
言った、いかにも山の手らしい高尚さを打ち出しています。また、杉並区や板橋区もほぼ同
じ路線を進んでいるように思います。
 その他、中央区のように野村総合研究所と共同で、インターネットを行政情報の広報手段
として、直接活用する研究試験の意味を持って行っているところもあります。その他、全国
の自治体の例を挙げればキリがありませんが、いずれも、それぞれの立場で、最もふさわし
い活用のあり方を模索しながら、取り組みを進めているのが現状です。

 以上のような状況を踏まえ、葛飾区としても、インターネットの本格的な活用について、
早急に検討すべきであることを訴えるとともに、その際の基本的考え方について、いくつか
の提案を申し上げ、区長の見解をうかがいたいと思います。

 先ず第一に庁内に「インターネット活用推進検討委員会をつくれ」と言うことであります。
 現在、ホームページを持っている「地域振興協会」、あるいは「郷土と天文の博物館」に
しても、それぞれの事業活動の推進のために、インターネットの活用による情報提供が望ま
しいという立場から、職員の個人的な努力依存して、ようやく現状のレベルまで到達しまし
た。つまり、行政全体として、インターネットをどう考えるべきかという全体のコンセプト
があって、明確な位置付けがはっきりしていて、やってきたものではありません。それでも
ここまで出来るというのは、ある意味では驚きです。
 しかし、いつまでもこのままでよいと言うことは言えません。地方の自治体を見ると、主
に観光地を抱える自治体が、自分のところの観光案内情報をインターネットで提供すると言
うのか一番多い活用例でした。それも確かに一つのあり方ですが、葛飾区のような都市部の
自治体にとっては、また違った活用法があるのではないかと思います。先に紹介した中央区
や世田谷区の取り組みも新しい試みの一つですが、やはり本区としても、自前の活用あり方
を全庁的に検討してみる必要があると思います。そのために、庁内に検討委員会を設置して
はどうかと提案するものですが、区長の見解をうかがいたいのであります。

  第二に、インターネットの取り組みに対する基本理念は将来の発展を踏まえて、幅広い見
地から考えていただきたいと言うことであります。「インターネットによる行政・地域情報
の提供」ということになると、どうしても「従前からの広報活動の一環」という狭い意味に
限定して、ものを考えるのが、役所の通弊だったと思います。しかし、インターネットは単
なる行政情報の伝達媒体と考えよりは、これからの都市生活に不可欠な社会的インフラと考
えるべきだと思います。
 実際こうしている間にも、インターネットは日一日と拡大、増殖し続けており、大容量の
高速通信網の整備が進み、更により高機能のソフトウェアが開発されることにより、専門家
ですら予想のつかない大発展が起こることは間違いないと思います。ですから、変な言い方
ですが、今の時点で「インターネットはこうしたものだ」と、断定するのではなく、「今の
ところはこうしたものだ」、と言うのが、正しいのかも知れません。
 いずれにしても、いまだ発展途上の部分が多分にあり、活用のあり方も年々、変化発展す
ると思います。従って、「出来るところから、まず、やってみよう」と言う先取の精神で臨
んでいただきたいと思います。
 それと同時に、行政が取り組むべき基本理念も明確にしておかなければならないと思いま
す。私は、当面は「地域・行政情報の発信による葛飾区の宣伝、イメージアップ」を目指す
ことになるとは思いますが、やがてはインターネットが社会の主要な情報インフラになると
すれば、将来を見据えた幅広い視点に立った取り組みを可能にする基本理念を確立すべきだ
と思います。

  第三に,葛飾区自身がホームページを開くべきと訴えると共に、出先の各施設のホームペー
ジも出来るところから積極的に取り組むべきと申し上げたいと思います。
 私は、なにはともかく、葛飾区自身がインターネットにホームページを開くべきだと思い
ますが、だからといって、現在ある地域振興協会や郷土と天文の博物館のホームページをそ
こに集約すべきだと言うのではありません。むしろ、各出先の施設のホームページは可能な
限り開設を進めるべきだと考えます。
 何故なら、当面の「インターネットの情報提供機能」を活用することに絞って考えれば、
各施設の独自のホームページを作った方がより具体的にそれぞれの施設の事業に合ったもの
がつくれると思うからであります。

  第四に,他区、他の自治体とのリンク、ネットワークこそインターネットの命であることを
十分認識していただきたいと言うことであります。
 私は、「郷土と天文の博物館のホームページが素晴らしい」と申し上げましたが、何が素
晴らしいかと言えば、そのリンクの豊富さであります。そこを起点に全国、全世界の博物館
へ瞬時にたどり着ける。このことが如何に凄いことか、実際に自分で試してみればすぐにわ
かります。実はインターネットの最大の特徴がこの「リンク」にあります。
 今までの情報伝達媒体は、蛸壷のようなものです、特定の情報はそれだけで完結して終わ
ります。他に関連する情報を提供することはありません。しかし、インターネットでは「リ
ンク」がある限り、情報は無限に連鎖します。
 現在の葛飾区地域振興協会のホームページの欠点を一つだけ言わせていただければ、「こ
のリンクが極めて少ないため、そのホームページを読んだら、もう他に行く場所がない」と
言うことです。これでは面白くありません。他区の杉並区ですら、わざわざ我が葛飾区に
「リンク」を張ってくれています。つまり、杉並区のホームページを読んだ人は、その気さ
えあれば、我が葛飾区のホームページを読んでくれるのです。こうなってくると、我が区、
我が地域にこだわるといった偏狭な地域意識は「百害あって一利なし」であることをつくづ
く実感します。
 その意味でも、「区民に対する行政情報の提供手段」と言ったごく狭い意味でインター
ネットを解釈することは明らかに誤りであると思います。
 今後、本区がインターネット上にホームページを開く場合は、この趣旨を良く理解して、
開かれた情報提供、「リンク」の豊富さで支持されるようなものにしていただきたいと思い
ます。結局それが、読んでくれる人を増やす決め手になると思います。

  第五に,他の自治体や民間との協力体制を進めることに配慮して欲しいと言うことです。
 現在本区としては、「葛飾区のホームページ」を開いておりません。しかし、現実には
ネット上に、「葛飾区のホームページ」があります。これは増田義郎氏が開いた個人のホー
ムページです。もし、葛飾区として自前でホームページを開くとなったら名称について、ど
のように調整するのでしょうか。大変難しい問題です。私も最初にこれを見たとき、葛飾区
はいつからホームページを開いたのかなと、一瞬ぎくっとしました。「地方自治情報セン
ター」のサーチエンジンでも、先ずこれが出てきます。YOHOO(ヤフー)日本版でも、
これが出てきます。杉並区のリンクでは、さすがに自治体自前のものではないと言うことで、
外してありました。この問題は、いずれ同氏と協議しなければならないでしょう。
 しかし、私は、このことを否定的な意味で申し上げるつもりはありません。ネットワーク
とは本来こうしたものであると思うからです。つまり、従業員一万人の大会社でも個人商店
でも、ネット上では全く同等のパフォーマンスが出来ると言うことです。規模の大小の問題
は関係がないと言うことです。つまり、ネットワークは縦型でなく、横型の組織なのだと思
います。ですから、葛飾区が自治体だからと言う思い上がりで、何か「行政情報を人々に伝
えてやるんだ」とか、上意下達の精神で臨んではならないと思います。ネットワークはそこ
に参加する全員が共同で豊かに作り上げものであろうと思います。
 その意味では、インターネットは、他の自治体や民間企業、そして個人の方々の協力があ
ればあるほど、充実したネットワークになります。本区は、行政情報の提供を通じて、そう
したネットワーク作りのイニシアティブをとっていくべきと思いますが如何でしょうか。

  第六に,将来に向けての課題として、行政事務の執行の中で、LAN、Eメールの活用を
検討して欲しいことを訴えておきたいと思います。
 言うまでもなく、インターネットは双方向通信です。ホームページを開設すると、Eメール
がどんどん来るようになります。こうした通信に対処する体制も早急に整備する必要があり
ます。
 伝えられるところによれば、現在日本の大手企業の大部分が社内のLANの構築とそれに
伴い社内の情報伝達手段としてEメールを使用してホワイトカラーの生産性の向上を図って
いるということです。この点で最も遅れているのが、官公庁だと言われています。現状では、
いきなりそうした情報処理システムを構築することは難しいと思いますが、少なくとも、本
区がインターネットに積極的に係わることによって、公式にEメールに対応する体制を余儀
なくされることは、将来の事務事業の執行体制の整備に向けて、好ましい契機になると考え
ます。
 以上、様々な視点から、提案も含め基本的な考え方について意見を申し上げましたが、区
長の積極的な答弁を期待するものであります。