平成7年第1回葛飾区議会定例会本会議代表質問

(1)後期実施計画の修正と平成7年度当初予算について

 お許しをいただきまして私は、葛飾区議会公明を代表し、先に通告した順に従い、区政
一般について、区長並びに関係部長に対して質問をするものであります。

 さて、今第一会定例会に先立って、区長は区政運営の基本として、後期実施計画の修正
版を議会に伝えました。後期実施計画は昨年初め、策定されたばかりで、本来ならば1年
後に修正するというのはまことに異例なことでありますが、それだけ内外の諸情勢、とり
わけ財政事情がここ数年、以前とは全く変わってしまったこと、さらに、その後の経済の
動向や区民ニーズの変化も生じていることから、修正も当然と言えます。
 今回の修正は新基本計画までのつなぎとして、当面2カ年間の計画として位置づけてい
くわけでありますが、内容としては、修正に当たっての基本方針5項目、そして、修正版
の特徴としての、1.ソフト重視、2.スリム化、3.わかりやすさ重視、4.緊急防災
対策への対応、などが上げられていますが、いずれも当を得たものと考えますし、修正版
をそれなりに評価します。要はこうした事業が厳しい財政事情とは言いながら、円滑に実
施されることを願ってやみません。
 しかし、私はあえて、別の角度から、計画策定の基本的姿勢と考え方について、意見を
申し上げ、区長の見解をただしたいと思うものであります。

 すなわち、今後の計画策定の際に大事なことは、
 先ず一つに、経済的社会的動向を的確に把握し、大局を見誤らないことが大切であると
考えます。
 二つに個別事業計画との関係ですが、個別計画は事業としての理想を追求しています、
しかし、それらを総合する基本計画は限られた財政資源を有効に活用する上から、優先順
位を付けて、その時々の社会情勢、時代の推移の方向に合わせて、メリハリをつけていか
ねばなりません。何処に重点を置いて計画策定をするか。その自治体の時代認識の正確さ
が問われることになると思います。
 次に大切なのは、優れた個別の政策の立案が出来るかどうか、政策立案能力の優劣が計
画の成否を左右すると思います。
 第4に、そうした前提に立って、その時々の緊急の政策課題に対するタイムリーで的確
な対応が必要であります。
 そして、最後に、財政についての正確な見通しに立って、適切な財政運営が求められる
と思います。

 さて、一番目の大局を見誤らないことについて、特に今後の経済的な動向には十分注意
を払う必要があります。
 すなわち、今、日本経済の構造的な変革はもはや避けて通れない状況になっており、こ
れは政府の経済政策がどうだと言うよりも、市場の経済原理からして、行くべきところに
行かざるを得ないということではないでしょうか、具体的には、製造業の海外への流出に
よる国内製造業の空洞化や経済のサービス化は、もはや止めることのできない大きな流れ
となっています。さらに流通業界においても、商品の低価格化にともなって業態の変化が
起こりつつあり、これがやがて地域の小売業のあり方にも重大な影響を与えることは間違
いありません。
 こうした製造業、サービス業にわたる経済構造や業態の変化は、本区のような下請け中
小企業の多い地域では、特に大きな影響を地域経済に与えることと思います。また社会的
にも、雇用の問題の深刻化など新たな課題を惹起することにになると思います。
 こうした時代認識について区長の率直な考えをお聞かせ願いたいのであります。

 更にこれからの自治体の計画の成否を左右するものは、優れた個別の政策の立案が出来
るかどうか、政策立案能力の優劣が勝負であるということを肝に命じていただきたいと思
いますがいかがでしょうか。

 こうした視点から、私は平成七年度当初予算の内容について大変注目しているものの一人
です。と申しますのは、七年度の当初予算を外形的にみれば、対前年度当初伸び率8・3%
と、いかにも積極的な財政のように見受けられますが、その内実は亀有再開発関連の財政
負担が七年度に一気に集中したためで、亀有関連を除けば、対前年度比伸び率0・5%と
いう超緊縮財政と行っても過言ではありません。言葉を変えて言えば、それだけ本区にとっ
て亀有関連が過大な財政負担となっていると言えると思います。
 ともかくこの三ー四年というものは、亀有再開発関連の財政負担を、何時頃、どの程度
負担することになるか、それを常に念頭におきながら、予算編成に当たると共に、財源確
保のため、他の計画事業の先送りなど、厳しい財政運営を強いられてきました。今、その
財政負担の全容が明らかになり、総額二〇〇億円からの財政支出を今予算案のような形で
歳出する事には、良し悪しは別として、一種の感慨を覚えます。
 ただ、全般的にいえることは、今後、中期的には、毎年度、歳入の大幅な伸びは余り期
待できないことでありましょうから、亀有関連の巨額の財政支出があろうとなかろうと、
歳入規模が余り拡大しない中で、区民の期待に応え得る予算をどう編成して行くか、財政
当局の腕の見せどころだと思います。
 そして、我々もまた、財政規模の拡大することを以て、積極的で好ましいとか、区政が
進展したとかいう発想から、脱皮する必要があると思います。つまり、予算案の正否、適
不適の判断基準を計画事業の進捗率やハードな建物・施設整備や都市基盤整備の実現度に
置くことも大事ですが、もう一面では、新しソフト的な政策立案能力と、それを予算化す
ることを通じての事業の執行力に置くことも必要だと考えます。
 そして、今年度の予算を概括的に見れば、亀有関連以外は緊縮型と言われるように、従
来からの、計画にあった都市基盤整備や施設整備について、大幅な遅れが出ていることは、
はなはだ残念なことでありますが、重点事業としてあげてある、1.地域福祉計画、保険
医療計画の着実な前進、2.環境問題への取り組み、3.子供の健やかな成長、4.中小
企業対策、5.区民に身近な社会資本の整備、6.区有財産の有効活用と区民サービスの
向上、7.災害対策の拡充、などについての重点施策の分野の方向についてはまことに当
を得たものと歓迎するととともに、具体的な施策として、訪問看護ステーション設置支援、
小中学校学校給食残飯コンポストの設置、プレイパーク事業、新製品・新技術開発助成な
ど、我が党としても、その実現を提唱してきた新規事業がようやく予算化されたことは今
後に期待を抱かせるものだと思います。これらは決して大きな財政支出を必要とするもの
ではありませんが、新しい発想で、今までの施策の体系から一歩踏みだしたものとして、
評価されると思います。
 そして、これからの青木区政の方向を考える場合、何度も申し上げますが、当面は財政
規模の拡大を指向する事は難しいと思われますので、こうしたコンセプトの優れた政策立
案能力で、区民の期待に応える方向に進むべきだと思います。そうした努力を重ねている
内に、次の新たな施策の発展を展望することも出来るありましょうし、財政事情も変化し
て、区政の進路についてのコンセンサスも新たに形成されるかも知れません。ともかく現
在のような先行き不透明な時代に於いては、青木区長のような、派手さはないかも知れま
せんが実務に明るく、着実な区政運営が時代の要請にマッチしていると思いますので、今
後とも一層の努力を期待いたします。
 ただ、新しいソフト施策のメニューについては、まだまだ開発の余地があると思います
ので、後で、歳出にふれる部分で具体的に提案しいたします。

 そこで先ず歳入について具体的に伺いますが、
当初予算で留意した点について第一に基金の可能な限りの活用、第二に特別区債の活用、
そして第三に事務事業の見直しによる歳出の削減であるとしています。これらは限られた
自主財源の中で、急増する財政需要に対処しようとすれば、当然考えられるべき対策であ
り、現下の財政事情では当然であると思います。
 しかし、それぞれの事項について、吟味して考えると今後注意すべき課題や問題点がい
くつかあることを指摘せざるを得ません
 その一つは、起債の活用は大変結構なことなのですが、その限度といいますか、活用の
限界を何処までと認識しているかということであります。確かに公債費比率は平成5年度
決算で6.1%ということで、まだまだ財政の硬直化という事態でないことはその通りで
あります。七年度の巨額の起債発行も亀有駅南口再開発の財政負担が単年度に集中したこ
とによるものであって、今後継続する傾向ではないと言うことも理解できます。しかし、
減税補填債などの対応によっては、公債費比率の急増も無いわけではありません。
 区としては、将来の財政負担等を十分考慮しながら適切な起債の活用を図ると言いなが
らも、おおよそ、公債費比率で言うとどのくらいを活用の限度と考えいるのか、見解をお
示し願いたいのであります。
 本区としても、これからはデフレの時代であって、名目的には個人所得が伸び悩む中で、
本区の歳入の伸びも低いままで推移するであろうと予想されますから、起債を発行しても
それを償還しにくい時代になると思われます。従って、計画事業の執行に万全を期しなが
らも、公債費比率の上限については、おおむね10%程度を超えないことを目安にしては
どうかと考えますが如何でしょうか。区長の率直な見解を伺いたいと思うのであります。

 第二に、事務事業の見直しによる歳出の削減をうたっていますが、確かに、必要性、緊
急性の観点から見直しを図り、20件の廃止・縮小を始め事務事業の簡素化等により15
億円強の経費の削減努力をしたことは評価いたしますが、既存事業の見直しとともに、事
務そのもののあり方について、どう見直すかも大事ではないでしょうか。
 つまり、事務処理の生産性の向上といいますか、事務処理のシステムをより効率的に処
理できるよう見直すとか、必要なOA機器の導入について、検討を加えるとか、そうした
視点が加味されて初めて、中身のある事務事業の見直しになるのではないでしょうか、区
長の見解を伺いたいのであります。

次に歳出に関連して申し上げます。
先ほど、当初予算について、「施設整備については、亀有関連のもの以外にはこれといっ
て見るべきものがなく、残念ではありますれども、そのほか計上されている新規事業につ
いては、なかなか新しい発想で、今までの施策の体系から一歩踏みだしたものとして、評
価される」と申し上げましたが、更に今後に期待する意味でこうした新しい発想の上にあ
る新規施策のメニューについていくつか提案したいと思います。

 その一つは、コミュニティーFM放送実施調査に関連して、区政情報の多様な伝達手段
を持つ意味で、パソコン通信に於けるBBSを開設してはどうかと考えるのでありますが、
如何でしょうか。
 現在首相官邸や東京都でもインターネットに加入して、情報交換の窓口を開設したとこ
ろ、予想を上回るアクセスがあり、利用者の関心の高さと実際の情報伝達力のパワーのす
ごさに今更のように驚かされたと報道されています。
 また今回の阪神大震災の際にも、全国規模で震災情報の交換がパソコン通信上で行われ
て、今までにない新しい種類の情報媒体として注目を集めております。こうした施策は極
めてわずかな初期投資で維持運営できるものであり、情報化時代に於ける広報活動の新し
い分野を開くものと期待されております。ぜひ実現出来るよう区長の積極的な取り組みを
期待するものですがどうでしょうか。

 また、高齢化社会と防災対策に関連したものとして
高齢者や身障者の家庭に家具の留め付け金具の提供事業をやってはどうかと提案いたしま
すが如何でしょうか。
 これは今回の阪神大震災でも、五千人以上の死亡者の死因は大部分は倒壊した建物や家
具の下敷きになったことによる圧死だったと言われていますが、またそのせいか身体の弱
い高齢者や身体の不自由な人、そして子供に死者が多く出ました。もし、建物が倒壊して
も、家具が倒れないよう止め金具で固定されていたら、状況はずいぶん違っていたのでは
ないでしょうか、
 実はこれに関するユニークな施策の例が伝えられています。それはかつて北海道東方沖
地震がありましたが、その時やはり釧路地方で建物の倒壊による被害があり、家具を固定
することの大事さが実証されましたが、そうしたことを踏まえて、ある東北地方の自治体
で、地震に備えて高齢者の家の家具を止め金具で固定してあげる施策を行ったそうです。
それが三陸はるか沖地震の際に役立って、住民からずいぶん感謝されたと言うのでありま
す。
 最近、区内のある工務店でも自分が建設をした建物について、要望があれば、無償で家
具の金具止めを行うサービスをしているところもあるようですが、考えてみれば、本区で
も高齢者や身障者の家庭に対して、こうした家具の金具による固定を行ってあげる事業を
防災対策と高齢者福祉事業の意味から行ってみてはどうでしょうか、金具は大して費用の
かかるものではありませんし、取付なども、高齢者事業団などに委託してあげれば、一石
二鳥だと思いますが如何でしょうか。
ぜひ区長の積極的な取り組みを期待するものであります。

 もう一つ高齢者福祉に関連して、長寿社会の到来とともに長い退職後の生活設計をどう
するか、関心を持つ高齢者が増えています。年金制度の改革が大きな社会的関心を集めて
いるのも一つの現れですが、そうしたことを背景にライフプランナーと呼ばれる人たちの
役割が注目されています。この内容は個人の資産管理や年金・保険設計についてのコンサ
ルタント業務のようですが、こうした需要は従来はともすれば一部の資産家や特別な個人
事業者に限られていたのであります。
 ところが、個人資産のストックが増加している現代社会を反映してか、最近、相談需要
が増えてきていると言われています。現在、準公的には関係行政機関の外郭団体等で行わ
れているのですが、相談したくとも身近にないと言うのが現状です。
 従って、もし現在の区民相談事業を更に質的に充実する意味で、こうしたライフプラン
ナー的な相談窓口を開設したならば、また新しい福祉施策の展開が出来るのではないで
しょうか、どうか高齢者のマイナーな部分だけではなく、元気な高齢者が必要とする課題
についても、充分意を注いでいただきたいと思います、
受け身の区民相談から攻めの区民相談を実現して欲しいことを区長に求めたいと思いますが
如何でしょうか。

 次に予算に関連して、市街地整備基金の運用のあり方についてお尋ねします。
 昨年の十二月補正で市街地整備基金の保有する事業用地を一般会計に振り替えるための
会計処理として、1億5200万円の歳出計上をいたしました。そして、この度の3月最
終補正で、同用地を9700万円余で売却すべく、財産売り払い収入として歳入計上する
ことになりました。
 私はこうした現実に接して、市街地整備基金の運用の社会的背景が大きく変わってしまっ
た現在、基金運用の方針や市街地整備事業推進のための財政制度を考え直す時期にきてい
ると言わざるを得ないのであります。
 そもそも現行の市街地整備基金は、平成3年3月に条例設置されたものでありますが、
その目的は、都市計画道路整備事業推進のため、当時バブルの絶頂期で地価が高騰した時
代背景から、代替地を先行的に取得して、買収事業を円滑に進めようと言う狙いがあった
ものであります。
 基金総額も当初は60億円でスタートしましたが、その後9億円の追加があり、現在は
基金総額は、69億円になっています。そして、現在代替用の用地の買収実績は、平成
6年末で、件数12件、総面積7091・53u、買収価格総額57億300万円余に
なっています。今までは買収が進む一方でしたが、事業用地に代替するという本来の目的
を実行する初めてのケースとなったのが、今回の最終補正に計上された立石七丁目の都市
計画道路整備事業用代替地の財産売り払い収入でした。
 本来ならば、基金の設置目的に添って初めて事業が執行されたのですから、喜ぶべきこ
とですが、一方でなかなか事業化に移れないで長期に渡る土地保有が続いていることに、
複雑な思いがします。
 と申しますのも、地価の動向については、現在のところ依然として、下落傾向が続いて
おり、中期的に見ても全般的には下がり気味に推移するであろうことが専門家から指摘さ
れております。つまり当分地価が上昇するという時代は来ないと言われているようであり
ます。そうすると、地価が上昇するという前提で考えられた市街地整備基金ですから、
そうした前提条件が消滅してしまえば、やはり今後の社会状況に対応した基金の運用に
変えてべきではないでしょうか。

 そこで、市街地整備基金の運用について、次のような提案をするものであります。
一.現在すでに取得している代替用地については、早急に事業化を進めること、
二.新たな代替用地買収については、事業化の見通しを見極めた上で行うこと、
三.都市計画道路整備事業の推進のため、代替用地の先行取得以外に別な形の財政的援助
を含めて、事業推進策を強化すべきであること。
 以上区長の率直な見解をお尋ねしたいと思います。